ドリフト車のカスタムにおいて、ホイール選びは「走り」と「見た目」を左右する最重要ポイントのひとつです。
サーキット走行や練習走行はもちろん、D1グランプリやFORMULA DRIFT JAPANといったトップ大会でも、信頼されるホイールは決まっています。
この記事では、ドリフト車に人気のホイールブランドとモデル、装着例、さらに大会シーンでの定番ホイールまで徹底解説します。
ドリフト用ホイール選びのポイント

ドリフトにおけるホイール選びは「見た目」だけでなく、実際の走行性能や安全性にも直結します。
間違った選択をすると、走行中に不安定になったり、ホイールが破損するリスクもあります。
軽量性

ドリフトでは素早い姿勢制御が求められるため、軽量ホイールは必須。鍛造モデルは特に有利です。
なぜ軽量性が重要か
- バネ下重量の軽減:ホイールは「バネ下重量」と呼ばれ、1kgの軽量化は車体の10kg軽量化に相当する効果があります。
- 慣性モーメントの減少:軽量ホイールは回転時の慣性が小さく、加速・減速時のレスポンスが向上し、素早いカウンター操作が可能になります。
- サスペンションの追従性向上:路面追従性が高まり、細かな路面変化にも敏感に反応するため、グリップコントロールが精密になります。

強度

縁石やハードな角度の進入など、強い衝撃にも耐える剛性が必要。
強度不足のホイールはクラックや変形のリスクがあるため要注意です。
ドリフトで高強度が必要な理由
- 横方向の負荷:通常の走行と異なり、ドリフトでは常に横Gがかかり続け、ホイールのスポーク部に大きなせん断力が作用します。
- 衝撃荷重への耐性:縁石やガードレールとの接触、急激な荷重変化に耐える必要があります。
- 熱負荷:長時間のドリフト走行でブレーキとタイヤからの熱がホイールに伝わり、材質の劣化を防ぐ必要があります。

サイズ感

17〜20インチが主流。
リム幅(J数)やインセットは車種やセッティングに合わせて調整しないと、干渉や走行安定性の低下につながります。

車種別サイズ選択の指針

軽量スポーツカー(86/BRZ、ロードスター、S2000)
- サイズ:17インチ × 8J〜9.5J
- 理由:軽量な車体特性を活かすため、過度に重いホイールは避ける。17インチで十分なタイヤ選択肢がある

ミドルクラス(シルビア、180SX)
- サイズ:17〜18インチ × 8J〜10J
- 理由:バランスの良いサイズ。18インチならタイヤ選択肢が豊富で、見た目のインパクトも十分

ヘビー級(JZX100、スープラ、スカイライン)
- サイズ:18〜19インチ × 9J〜11J
- 理由:重量のある車体に負けない存在感が必要。大径ホイールでブレーキクリアランスも確保

用途別の推奨

練習・街乗りメイン
- 17インチ推奨(タイヤ代を抑えられる)
- 鋳造でもOK(コスト重視)
練習用では、フロントとリアのタイヤを変えたり、中古タイヤを使用するケースも多いです。
初心者の方は、リアに低グリップのタイヤを装着するのも一つの方法です。
競技・大会参戦
- 18インチ推奨(タイヤ選択肢が豊富)
- 鍛造必須(信頼性重視)
魅せるドリフト・イベント
- 18〜19インチ(インパクト重視)
- 深リム・3ピース構造で存在感をアップ
タイヤに関しては以下のような動画も参考にしてください。
コストパフォーマンス
練習用と大会用を分ける人も多く、価格帯のバランスも重要です。
「練習用=比較的安価」「大会用=高性能・高剛性」と使い分けるのが現実的です。
ドリフト用ホイールは「ブランド」「製造方法(鍛造/鋳造)」「サイズ」によって価格が大きく変わります。
以下の表を参考に、予算感をつかんでください。
ブランド | 人気モデル | 特徴 | 価格目安(1本) |
---|---|---|---|
RAYS | TE37 / 57CR | ドリフト定番、鍛造&軽量 | 約50,000〜80,000円 |
WORK | EMOTION ZR10 / T7R | 大会採用多数、強度とデザイン | 約35,000〜70,000円 |
ENKEI | RPF1 / NT03+M | 軽量&コスパ良し | 約30,000〜55,000円 |
SSR | Professor SP1 / GTX01 | 深リム・3ピース、D1人気 | 約45,000〜85,000円 |
WedsSport | SA-72R / TC105X | 練習〜大会まで幅広く使用 | 約25,000〜50,000円 |
💡 ポイント:練習用なら30,000円前後の鋳造モデル、本番用なら50,000円以上の鍛造モデルを選ぶユーザーが多いです。
ドリフト車に人気のホイールブランド&モデル(D1GP・D1ライツ・FORMULA DRIFT JAPAN)
大会で実際に使われているホイールは、信頼性と実績の証です。
プロが選ぶ理由を知れば、ホイール選びの参考にもなります。
RAYS(レイズ)

世界中のモータースポーツで高いシェアを誇る日本を代表するホイールメーカー。
鍛造ホイールの軽さと剛性は、トッププロが信頼して使う理由です。
- TE37 → D1GPやFDJで装着率No.1。
- 57CR / 57DR → D1ライツのエントリー車両でも採用多数。

WORK(ワーク)

デザイン性と強度を両立し、ドリフトシーンに根強いファンを持つブランド。
- EMOTION ZR10 / T7R → 大会車両でも採用率が高い。
- MEISTER S1 3P → JZX系・旧車勢に根強い人気。

YOKOHAMA(ヨコハマ)/ ADVAN Racing

SUPER GT直系の技術でドリフト界をリード
金型鍛造技術の最高峰を誇り、SUPER GTで培った技術を直接フィードバック。
D1GPトップドライバーが愛用し、その軽量性と剛性は他の追随を許さない高次元でのバランスを実現しています。
- ADVAN Racing RG-III → D1GPトップドライバーが愛用、6本スポークの王道デザイン
- ADVAN Racing RG-D2 → ステップリム採用でモダンな印象、近年の大会で採用急増
- ADVAN Racing GT BEYOND → 2025年デビュー、次世代高性能ホイールとして大注目
強み:モータースポーツ直系の技術力で、軽量性・剛性・耐久性すべてが最高レベル
ヨコハマホイール(YOKOHAMA WHEEL) アドバン ADVAN Racing RGIII アルミホイール 18×10.5 + 15 【 114.3-5 …

ENKEI(エンケイ)

世界的に認知度の高い老舗メーカーで、F1などレースシーンでも活躍。
- RPF1 / NT03+M → FDJ参戦マシンでも多く採用される定番。

SSR
リムの自由度が高く、深リム志向のユーザーに愛されるブランド。
- SP1 / SP3 / GTX01 → 深リム志向や競技志向のドリ車に人気。

WedsSport(ウェッズスポーツ)
長年モータースポーツに関わり、技術を市販ホイールにも反映。
- TC105X → D1ライツやFDJで使用率が高い軽量鋳造モデル。

VALINO(ヴァリノ)

- タイヤブランドで有名なVALINOが展開するホイール。
近年D1GPやFDJで採用例が増え、剛性・デザイン・VALINOタイヤとの相性で注目を集めています。

💡 大会で選ばれるホイールは「実績」と「安心感」の証明。ストリートユーザーが選んでも間違いない選択肢です。
参戦車種分布(D1GP 2024最終戦データ)
D1GP・Formula Drift Japan参戦車両分析レポートです。
2024年実戦データに基づく車種別傾向
トヨタ 86/スバル BRZ系(ZN6/ZN8)
参戦台数:8台
参戦選手・チーム
- 日比野哲也(SHIBATA RACING TEAM – MOTUL GR86)
- 村上満(Repair Create × Result Japan GR86)
- 三好隼人(Team MJ-STYLE VALINO GR86)
- Tengku Djan Ley(FAT FIVE RACING GR86)
- 蕎麦切広大(SHIBATA RACING TEAM – MOTUL GR86)
- 石川隼也(広島トヨタ team DROO-P – HT・DUNLOP・86)
- 藤野秀之(TEAM TOYO TIRES DRIFT GR86)
- 川畑真人(TEAM TOYO TIRES DRIFT GR86)
車種特性 軽量なボディ特性を活かしたドリフト競技に最適。多くのプロ選手が選択する人気車種。
日産シルビア系(S13/S14/S15)
参戦台数:8台
参戦選手・車両
- 田中省己(S15 – SHIBATIRE TOPTUL D-MAX)
- 内海彰乃(S15 – BLUE FACE)
- 山本航(S15 – SILVIA)
- 植尾勝浩(S15 – VAZESTRA VALINO)
- 茂木武士(S15 – スピードマスター オリジンラボ)
- 斎藤久史(S15 – RX15 Four)
- 陣野寿幸(S15 – キウイシルビア Ver.2)
- 横井昌志(S15 – D-MAX 2JZ仕様)
- 田野結希(S15 – D-MAX 2JZ仕様)
車種特性 ドリフト競技の定番車種。特にS15が人気で、2JZエンジンスワップ車両も多数参戦。
日産180SX系(RPS13/PS13)
参戦台数:5台
参戦選手・車両
- 久保川澄花(RPS13 – ハイチュウ号)
- 米内寿斗(RPS13 – GreenTop 酒の中村)
- 森孝弘(RPS13 – GP SPORTS)
- ヴィトー博貴(PS13 – BALD EAGLE)
- 中村直樹(PS13 – V8 VALINO N-STYLE)
マツダRX-7(FC/FD)
参戦台数:2台
参戦選手・車両
- 松井有紀夫(FD3S – RE雨宮 マツモトキヨシ)
- 岩井照宜(FC3S – Project μ HID信玄)
車種特性 ロータリーエンジンの軽量特性とバランスの良い車両特性で根強い人気。
Toyota GRスープラ(A90)
参戦台数:2台
参戦選手・車両
- 齋藤太吾(FAT FIVE RACING GR SUPRA)
- 山中真生(ウエインズトヨタ神奈川 スープラ)
車種特性 現代の高性能FR車として注目。パワーと車重のバランスに優れる。
ヘビー級セダン(JZX100/ER34)
参戦台数:3台
参戦選手・車両
- 畑中夢斗(JZX100 – BALD EAGLE)
- 野村圭市(ER34 – DUNLOP CUSCO SKYLINE)
- 中田哲郎(JZX100 – GARAGE TNR MARKⅡ)
- 波紫聖和(ER34 SKYLINE)
その他注目車種
BMW(E92/F22)
- 山口孝二(E92 – G-MEISTER VALINO)
- 目桑宏次郎(E92 – G-MEISTER TOP Reality)
- Lattapon Keawchin(F22 – DRIVE TO DRIFT BMW)
レクサスRC(GSC10)
- 上野高広(VERTEX elf LEXUS RC-V)
特殊車両
- Mike Whiddett(RX3ワゴン – TOYO TIRES × RedBull)
- 松川和也(AE85 – HT・DUNLOP・85)
- 田所義文(AE86 – USED AUTO PARTS TADOKORO)
- 松山北斗(GRカローラ – TOYO TIRES DRIFT)
多様化する車種選択により、BMW、レクサス、GRカローラなど、従来のドリフト車とは異なる車種の参戦も増加。
2JZエンジンスワップやV8エンジン搭載車両など、ハイパワー化が進んでいます。
86/BRZ系の参戦台数の多さは、軽量でバランスの良い車両特性がドリフト競技に適していることを示しています。
タイヤブランド使用状況

使用ブランド分布
- SHIBATIRE(SB):14台(32%)
- VALINO(VL):13台(30%)
- TOYO TIRES(TY):7台(16%)
- DUNLOP(DL):3台(7%)
- YOKOHAMA(YH):1台(2%)
- その他・不明:6台(13%)
シバタイヤ [SHIBATIRE MOTOR SPORT] 夏タイヤ 4本セット 265/30R19 Rydanz ROADSTER R02S Z0046-X4
ブランド別特徴
各チーム・選手がスポンサー契約や性能特性に応じてタイヤブランドを選択しています。
主要チーム
- SHIBATA RACING TEAM(日比野哲也、蕎麦切広大)
- TEAM TOYO TIRES DRIFT(藤野秀之、川畑真人、松山北斗)
- FAT FIVE RACING(齋藤太吾、Tengku Djan Ley)
- TEAM D-MAX RACING(横井昌志、田野結希)
スポンサー傾向
タイヤメーカー、オイルメーカー、チューニングパーツメーカーが主要スポンサーとして名を連ねています。
D1GP 2024シーズンのデータから、現代のプロドリフト界では軽量FRスポーツカーを中心としつつ、多様な車種が競い合う構図が明確になりました。
タイヤブランドの分散も、各チームが性能とスポンサーシップの両面を考慮して選択していることを示しています。
これらの実戦データは、ドリフト競技への参戦や車両選択の参考として価値のある情報といえるでしょう。
データソース:D1GP 2024 RD.9&10 お台場最終戦 公式エントリーリスト
まとめ

ドリフト車に人気のホイールは、軽量性・剛性・コスパを兼ね備えたモデルが中心です。
- 王道を狙うなら → RAYS TE37 / ADVAN Racing RG-III
- コスパ重視なら → ENKEI RPF1 / Weds TC105X
- 深リム&存在感なら → SSR Professorシリーズ
- 最新トレンドなら → VALINO PERGEAR
練習用と大会用を使い分けるのも賢い方法です。
「大会で実績のあるホイール=安心感と信頼性の証」。
あなたの愛車に最適な一本を選んで、走りと見た目をワンランクアップさせましょう。

