スズキ・アルト(HA37S / HA97S)は標準で14インチのタイヤを装着していますが、「見た目を変えたい」「スポーティにしたい」という理由から、15インチへのインチアップを検討する方が増えています。
しかし、軽自動車のインチアップは 外径差・干渉・車検適合 など注意点が多く、正しいサイズ選びがとても重要です。
この記事では、9代目アルト(HA37S / HA97S)の純正データに基づき、15インチに適したタイヤサイズ・ホイールサイズ・費用目安・注意点を実例を交えて詳しく解説します。
15インチ化のメリット・デメリット

インチアップを検討する前に、メリットとデメリットを正しく理解しておきましょう。
メリット

見た目の向上
- ホイールが大きくなることで、車全体が引き締まった印象に
- タイヤの扁平率が下がり、スポーティな外観になる
- 純正14インチより存在感がアップ
走行性能の変化
- コーナリング時のふらつきが減少
- ハンドル操作への応答性が向上
- 路面追従性が良くなる(グリップ感の向上)
カスタムの自由度
- 15インチの方がホイールデザインの選択肢が豊富
- タイヤメーカーのラインナップも多い
- ドレスアップの幅が広がる

デメリット

乗り心地の変化
- タイヤの厚みが薄くなるため、路面からの衝撃を拾いやすい
- 段差でゴツゴツ感が出やすくなる
- 長距離運転での疲労感が増す可能性
燃費への影響
- タイヤが重くなることで、燃費が1〜2km/L程度悪化することがある
- 特に市街地走行での影響が大きい
コスト増
- タイヤ・ホイール代が14インチより高額
- 交換時のタイヤ代も割高
- 初期投資として6〜13万円程度必要
メンテナンス
- タイヤの減りが早くなる傾向
- 空気圧管理がより重要になる
- サイドウォールが薄いため、縁石への接触に注意が必要

15インチはこんな人におすすめ

以下のいずれかに当てはまる方は、15インチ化で満足度が高くなります。
- 見た目のカッコよさを重視したい
- 街乗りメインで、乗り心地の変化は許容できる
- ワインディングでの走行性能を向上させたい
- カスタムを楽しみたい
1つでも当てはまれば、インチアップの価値は十分にあります。
特に「純正の見た目に飽きた」「もっとスポーティにしたい」という方には、費用対効果の高いカスタムと言えるでしょう。
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おすすめしない人
逆に、以下に当てはまる方は慎重に検討してください。
- 乗り心地を最優先したい
- 燃費を少しでも良くしたい
- コストを抑えたい
- 悪路や段差の多い道を頻繁に走る
これらに該当する場合、無理にインチアップする必要はありません。
純正14インチでも、デザイン性の高いホイールに交換するだけで十分ドレスアップできますし、実用性は純正が最も優れています。
「見た目より快適性」という選択も、まったく間違っていません。
アルト(HA37S / HA97S)の純正サイズ

HA37S アルトの標準タイヤサイズは以下の通りです(グレードにより変動)。
- タイヤサイズ:155/65R14
- ホイール:14×4.5J +45 前後
- PCD:100(4穴)
- ハブ径:54mm(スズキ軽の一般値)
- ナット形状:テーパー座 M12×P1.25
※HA37S(2WD中心)とHA97S(4WD/ハイブリッド中心)は基本スペックが共通のため、同じ15インチ化の情報が適用できます。
純正タイヤの外径は約557mm。
インチアップ時は、この外径に近づけることが車検・速度計誤差の観点から重要です。

外径の重要性とは?

外径が変わると、速度メーターに誤差が発生します。
- 外径が大きい → 実際の速度が速いのにメーターは遅く表示
- 外径が小さい → 実際の速度が遅いのにメーターは速く表示
車検では±3%以内の誤差が望ましいとされており、実用上もこの範囲に収めるのが安全です。

【比較】15インチへのインチアップ候補タイヤサイズ
検索データと外径計算から、HA37S に装着されることが多い 15インチの候補を整理しました。
| タイヤサイズ | 外径 | 純正比 | 実速度(40km/h表示時) | 対応ホイール幅 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 165/55R15 | 562 mm | +5 mm | 40.3 km/h | 4.5〜6.0J | ◎ 最推奨 |
| 155/60R15 | 567 mm | +10 mm | 40.7 km/h | 4.5〜5.5J | ◎ 干渉リスク低 |
| 165/50R15 | 546 mm | -11 mm | 39.2 km/h | 4.5〜6J | △ 乗り心地硬化 |
結論:現実的に選びやすいのは165/55R15
1. 165/55R15(最もバランスが良い)
- 外径差がわずか+5mmで速度計誤差が最小
- タイヤの選択肢が豊富(ヨコハマ、ダンロップ、トーヨーなど)
- 価格も比較的手頃(1本5,000〜8,000円程度)
- 干渉リスクが低く、初めてのインチアップに最適

費用の目安(総額いくらかかる?)
15インチ化にかかる費用の内訳と目安をまとめました。
費用内訳
| 項目 | 価格帯 | 備考 |
|---|---|---|
| タイヤ4本 | 20,000〜40,000円 | 165/55R15の場合。ブランドにより変動 |
| ホイール4本 | 30,000〜80,000円 | 国産ブランドで50,000円前後が相場 |
| 取付工賃 | 5,000〜10,000円 | タイヤ組替え・バランス調整・廃タイヤ処分込み |
| ナット(必要に応じて) | 2,000〜4,000円 | ホイールによってはテーパー座対応品が必要 |
| ハブリング(推奨) | 1,000〜2,000円 | センター出しのための樹脂リング |
総額:約6万円〜13万円
コストを抑えるポイント
ネット通販を活用
- 楽天・Yahoo!ショッピングのタイヤ&ホイールセットが割安
- 「取付店舗直送」サービスを利用すれば工賃込みで購入可能
- ポイント還元も含めると実質10〜20%オフになることも
中古ホイールの検討
- ヤフオク・メルカリで程度の良い中古品なら2〜3万円で入手可能
- ただし、傷・歪みの確認は必須
工賃節約
- 持ち込み可の整備工場を探す
- オートバックス・イエローハットなどカー用品店の持込料金を比較
- ネット購入時に提携工場での取付サービスを利用

価格帯別おすすめの組み合わせ
予算6万円コース(エントリー)
- タイヤ:アジアンタイヤ(NANKANG、HIFLY等)
- ホイール:国内メーカーのベーシックモデル
- 取付:持込工賃
予算9万円コース(スタンダード)
- タイヤ:ヨコハマ、ダンロップなど国内メーカー
- ホイール:KYOHO、BLEST等の人気ブランド
- 取付:カー用品店での組替え
予算13万円コース(プレミアム)
- タイヤ:ブリヂストン、ミシュラン等プレミアムブランド
- ホイール:WORK、ENKEI等の高品質ホイール
- 取付:ディーラーまたは専門店での作業
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【165/55R15】装着時のホイールサイズ目安

165/55R15 を装着する際の推奨ホイールサイズは以下の通りです。
| リム幅 | インセット | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 5.0J | +45 | ◎ | 最も安全な組み合わせ。干渉リスク最小 |
| 5.0J | +40〜+42 | ○ | やや外側に出るが許容範囲 |
| 5.5J | +42〜+45 | ○ | 幅広でスポーティな見た目 |
最もトラブルの少ないサイズ:5.0J +45
15インチの5.0J インセット+45がおすすめサイズです。
- フェンダー干渉のリスクが低い
- 車検にも対応しやすい
- 純正に近い出幅で違和感がない
- ほとんどのタイヤメーカーが推奨する標準サイズ
インセット(オフセット)の重要性
インセットとは、ホイールの取付面がリムのどこにあるかを示す数値です。
- 数値が大きい(+50など) → ホイールが内側に引っ込む
- 数値が小さい(+35など) → ホイールが外側に出る
アルトの場合、+40〜+45が安全圏。+35以下にするとフェンダーからはみ出すリスクが高まります。

必ず確認すべきスペック
購入前に以下を必ずチェック
- PCD:100mm / 4穴 (スズキ軽の標準)
- ハブ径:54mm以上
- ナット座面:テーパー座 (スズキ軽はテーパー座が標準)
- インセット:+45程度

おすすめ15インチホイール(軽カー向け)
以下はスタイリッシュで人気の高いホイールラインナップです。
※楽天・Yahoo! で「アルト PCD 100/4穴/5J/+45」で検索可能。
WORK EMOTION CR Kiwami
特徴
- スポーティな10スポーク
- 軽量設計でハンドリング向上
- カラーバリエーション豊富(ブラック、ガンメタ、ホワイトなど)
価格帯:1本 15,000〜20,000円 おすすめ度:★★★★★
ENKEI PerformanceLine PF01
特徴
- ENKEIの定番軽量ホイール
- 高い剛性と耐久性
- レーシーなデザイン
価格帯:1本 18,000〜25,000円 おすすめ度:★★★★★(走りを重視する人向け)
WEDS LEONIS(レオニス)シリーズ
特徴
- デザイン性の高さが最大の魅力
- 人気の3モデル(VT、LV、GREILA)を具体的に紹介
- 価格帯は中〜やや高め(13,000〜18,000円/本)
- 「安っぽく見せたくない」層にアピール
レオニスの強み
- WEDSブランドの信頼性 – 国内大手メーカー
- カラバリ豊富 – BMCMC(ブラックメタルコート)、PBMC(パールブラック)など
- 複雑なデザイン – 10本スポークやメッシュ調で高級感
- 軽自動車でも安っぽくならない – 質感が良い
価格帯:1本 12,000〜16,000円 おすすめ度:★★★★☆(大人の落ち着いたカスタム向け)

KYOHO SMACK(スマック)シリーズ
特徴
- 軽自動車カスタムの定番ブランド
- バリエーション豊富(SMACK LAVINE、SMACK VALKYRIEなど)
- 価格と品質のバランスが良好
価格帯:1本 10,000〜15,000円 おすすめ度:★★★★☆

ホイール選びのポイント
デザイン重視なら
- WORK、RAYS、WEDSなどブランドホイール
コスト重視なら
- BLEST、KYOHO、Weds レオニスなど国内ミドルブランド
軽量化重視なら
- ENKEI、RAYS VOLK RACINGなど軽量モデル

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装着時の注意点と失敗例

インチアップで起こりやすいトラブルと対策をまとめました。
失敗例1:フェンダーからタイヤがはみ出した
原因
- インセットが小さすぎた(+35以下など)
- タイヤ幅が広すぎた(195mm以上)
対策
- インセットは+40以上を選ぶ
- 165/55R15または155/60R15を選択
- 購入前に実車でクリアランス確認
結果 → 車検に通らず、ホイール買い直しで数万円の損失

失敗例2:ハンドルを切るとタイヤが干渉する
原因
- ホイール幅が広すぎた(6J以上)
- インナーフェンダーとのクリアランス不足
- 車高を下げていた場合に発生しやすい
対策
- 5.0Jまでのリム幅に留める
- 仮組みでハンドル全切り確認
- 最低地上高9cm以上を維持
結果 → 走行中に異音、最悪の場合タイヤバースト

失敗例3:ナットが合わず取付できない
原因
- ホイールのナット座面が球面座で、純正ナット(テーパー座)と合わない
- 社外ホイールは座面形状が様々
- サイズを間違えた
対策
- 購入時に「テーパー座対応」を確認
- 必要に応じて専用ナットを購入(M12×P1.25)
- 取付前に座面形状を必ず確認
結果 → 取付できず、ナット購入で数千円の追加出費

失敗例4:ハブ径が合わずセンターが出ない
原因
- ホイールのハブ径が車両のハブ径(54mm)より小さい
- ハブリングを使用しなかった
対策
- ハブ径54mm以上のホイールを選ぶ
- ハブ径が大きい場合はハブリングで調整
- 樹脂製ハブリング(1,000円程度)を装着
結果 → 走行中の振動、異音、最悪ホイールの損傷

トラブルを防ぐためのチェックリスト
装着前に以下を必ず確認しましょう。
- [ ] タイヤ外径が純正の±3%以内
- [ ] ホイールPCDが100mm / 4穴
- [ ] インセットが+40〜+50の範囲
- [ ] ハブ径が54mm以上
- [ ] ナット座面がテーパー座対応
- [ ] フェンダーからのはみ出しなし(目視確認)
- [ ] ハンドル全切り時の干渉なし(実車確認)
- [ ] 空気圧を適正値に調整(220〜240kPa推奨)
よくある質問(FAQ)

Q1. 15インチにすると車検は通りますか?
A. 適切なサイズを選べば問題なく通ります。
以下の条件を満たせば車検適合です。
- タイヤがフェンダーからはみ出していない
- 最低地上高が9cm以上ある
- 速度計誤差が許容範囲内(実測で±10%以内)
- タイヤサイズが車検証の記載とかけ離れていない
165/55R15または155/60R15であれば、ほぼ問題ありません。

Q2. 乗り心地は悪くなりますか?
A. はい、やや硬くなります。
扁平率が下がる(タイヤの厚みが薄くなる)ため
- 段差でのゴツゴツ感が増す
- 路面の凹凸を拾いやすくなる
- 長距離運転での疲労感がやや増す
ただし、タイヤ銘柄やエアー圧の調整で緩和可能です。
コンフォートタイヤ(乗り心地重視)を選ぶと、純正とほぼ変わらない感覚で乗れます。

Q3. 燃費への影響はどのくらいですか?
A. 1〜2km/L程度悪化することがあります。
原因:
- タイヤ・ホイールの重量増加
- 転がり抵抗の変化
ただし、運転の仕方や道路状況による影響の方が大きいため、極端に悪化することはありません。 エコタイヤを選ぶことで影響を最小限に抑えられます。

Q4. タイヤの値段は14インチより高いですか?
A. はい、1本あたり1,000〜2,000円程度高くなります。
参考価格(165/55R15の場合)
- 格安タイヤ:1本 4,000〜5,000円
- 国内メーカー:1本 6,000〜8,000円
- プレミアムブランド:1本 10,000〜15,000円
交換頻度は2〜3年に1回程度なので、ランニングコストへの影響は限定的です。

Q5. 純正に戻すのは簡単ですか?
A. はい、簡単に戻せます。
純正の14インチタイヤ&ホイールを保管しておけば、
- タイヤ交換作業のみで元に戻せる
- 工賃は4本で3,000〜5,000円程度
- 車検時や下取り時に戻すことも可能
売却時に純正に戻した方が査定が良い場合もあるため、純正ホイールは保管推奨です。
Q6. 自分で装着できますか?
A. 可能ですが、専用工具と知識が必要です。
必要なもの:
- ジャッキ(車載ジャッキでも可)
- トルクレンチ(ナット締付に必須)
- ホイールナット(適正トルク:85〜105Nm)
初心者は業者に依頼することを強く推奨します。 不適切な取付は、走行中のホイール脱落など重大事故につながります。

【まとめ】アルト(HA37S / HA97S)の15インチ化
この記事のポイント
- 純正タイヤ外径:557mm を基準にサイズ選定
- おすすめサイズ:165/55R15 または 155/60R15
- ホイールは:5.0J +45(PCD100/4H) が最も安全
- 総費用:6万円〜13万円 が相場
- 外径差は ±3%以内に収めること
- 干渉・車検・ナット形状の確認は必須
初心者に最もおすすめの組み合わせ
タイヤ:165/55R15
- 外径差わずか+5mm
- 選択肢が豊富
- 価格も手頃
ホイール:5.0J +45
- 干渉リスク最小
- 車検適合性が高い
- ほぼすべてのメーカーが推奨
この組み合わせなら失敗リスクは最小限です。
購入時のアドバイス
安心して購入する方法
- 適合確認済みセットを選ぶ
- 楽天・Yahoo!で「アルト HA37S 15インチ 適合」で検索
- 「車種別適合表」記載の商品を選ぶ
- レビューを確認する
- 同じ車種での装着例があるか
- 干渉や不具合の報告がないか
- 取付店舗が決まっているセットが便利
- 全国のカー用品店で取付可能なサービスあり
- 送料+取付工賃込みで購入できる
- 不安なら専門店に相談
- タイヤ専門店やカスタムショップなら実車確認可能
- 多少高くても安心料と考える
無理にインチアップする必要はありません。 純正14インチでも、ホイールデザインを変えるだけで十分ドレスアップできます。
見た目を変えつつ、普段使いの実用性を残したいなら、165/55R15 × 5.0J +45 が最も失敗しにくい選択です。
この記事を参考に、安全で満足のいくカスタムを楽しんでください!
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