車のカスタマイズで人気のある「インチアップ」。
タイヤとホイールを大きくすることで、見た目や走行性能を向上させることができます。
しかし、車検時に不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
ここでは、インチアップした車を車検に通すために押さえておきたいポイントを紹介します。
車検の基本知識をおさらい

車検は、自動車が安全基準や環境基準を満たしているかを確認するための制度であり、法律で定められた一定期間ごとに実施が義務付けられています。
日本では、新車登録から3年後に初回の車検を受け、その後は2年ごとに継続して車検を受ける必要があります。
車検の際にチェックされる主な項目は、ブレーキ、タイヤ、ライト、排ガス、サスペンション、車体の状態など多岐にわたります。
特に、インチアップを行った車両では、タイヤの外径やホイールのオフセットが基準を満たしているかが重要なポイント。
例えば、純正サイズと比べて外径が極端に大きくなると、スピードメーターの誤差やフェンダーからのはみ出しが問題となり、不合格となる可能性があります。
車検の時には、保安基準を満たしているかどうかのチェックがあり、基準を満たしていない場合は車検がNGになり、公道の走行はできません。
インチアップ時の車検の注意点

車検でタイヤ・ホイールに関するのは、以下の4つが挙げられます。
- フェンダーのはみ出しや干渉がないこと
- スピードメーターの誤差が許容範囲内であること
- タイヤの荷重指数
- タイヤの溝が規定以上あること
車検はルールがあり、そのルールは複雑なため車検が通るかどうかの判断が分からないことがあります。
ギリギリの場合や怪しい場合は車検非対応になることが多いため、ギリギリは避けておくのがいいです。
また、JWL(Japan Light Alloy Wheel)やVIA(Vehicle Inspection Association)規格に適合したホイールを使用することも必須条件。
認証マークがないホイールは強度不足と判断され、車検に通らない可能性が高いため注意してください。
フェンダーのはみ出しや干渉がないこと

車をかっこよく仕上げるために、車両のフェンダーギリギリを狙っている車は、車体からはみ出していないかを確認しなければいけません。
自分の見た感じでは車両内に収まっていると思っても、検査官の判断は車検NGと言われることも多いです。
タイヤ側面の一部分が、車体からはみ出していたらアウトになるため注意が必要。

インチアップをした時は、タイヤやホイールが車体からはみ出していないかをチェックしてください。
また、前後、左右どこか1カ所がはみ出しても車検はNGです。
※FF車などでは、リアのアクスルのズレによって左右で出方が違うこともあるので注意してください。
タイヤだけでなく、ホイールの表面、ホイールナットが車両からはみ出していても、車検は通りません。

スピードメーターの誤差が許容範囲内であること

スピードメーターの誤差が許容範囲内であることにも注意が必要です。
インチアップするときは、純正のタイヤ外径とインチアップ時のタイヤ外径を合わせなければいけません。
■タイヤ外径の例(15インチから18/19インチ)
- 195/65R15:634mm
- 215/40R18:629mm
- 225/35R19:640mm
タイヤ外径は、全く同じである必要はありませんが、大きく違う場合は注意が必要です。
外径が大きくなると、スピードメーターが実際より低い速度を表示することになり、車検に通らない可能性があります。
インチアップの際には、タイヤの外径を純正サイズから±3%以内に抑えることで、誤差を最小限に抑えることができます。
適正な外径を維持するためには、インチアップの際にタイヤの扁平率を適切に調整することが求められます。
例えば、純正が195/65R15の車両なら、インチアップ後に215/40R18や225/35R19を選択すれば、外径差が少なく誤差を最小限に抑えられます。
これにより、スピードメーターの誤差を許容範囲内に収め、安全性を確保することが可能。

タイヤの荷重指数

タイヤには、荷重指数(ロードインデックス)があります。
タイヤの荷重指数が足りないと、保安基準を満たさないことになるため車検が通りません。
荷重指数(ロードインデックス)は、タイヤ1本で支えることができる最大負荷能力の指数です。
タイヤのロードインデックス(LI)が純正と同等以上であることも確認すべきポイント。
例えば、純正タイヤのLIが91(最大荷重615kg)の場合、インチアップ後のタイヤもLI91以上であることが求められます。
ロードインデックスが低すぎると、タイヤの耐荷重不足によるトラブルが発生する可能性があります。

タイヤサイズの後に記載されている数字がロードインデックスです(上記のタイヤは96)
ロードインデックスは、タイヤ1本での負荷能力で、車を支えられるかどうかが重要。
スタンダード(STD)規格とエクストラロード(XL)規格があり、エクストラロード(XL)規格のタイヤは、空気圧によって負荷能力が変わります。
インチアップして、XLタイヤ(エクストラロードタイヤ)のタイヤを装着している方は、空気圧にも注意する必要があります。
タイヤの溝が規定以上あること

タイヤの残り溝にも気をつける必要があります。
タイヤの減りは道路運送車両法で決められており、タイヤのスリップサインが出ているタイヤは通りません。
スリップサインが露出すると、タイヤの残り溝が約1.6mm以下であることを示し、車検NGです。
スリップサインは、タイヤ側面の三角印を辿っていくと、タイヤの溝にある出っ張りのことです。
タイヤは、1ヵ所でもスリップサインが出たタイヤは車検に通りません。
偏摩耗して、タイヤの内側の溝が減って、規定をクリアーでない場合もNGです。
ローダウン車でキャンバーの付いている車は、タイヤの内側の溝もチェックしてください。
また、ローダウンは、車高が9センチ以下の車も車検が通らないため最低地上高はキープする必要があります。
車両下部のメンバー部分やマフラーなどの高さに注意してください。

スペーサーの使用

インチアップやホイールのカスタムでスペーサーを使用する方も多いです。
スペーサーを使用することで、ホイールの装着位置を調整できたり、干渉を避けることもできます。
ただし、車検時は、ホイールスペーサーを装着した状態で保安基準に適合することが大切。
はみ出してしまったり、ボディや部品同士が干渉したりすると保安基準不適合で車検に通りません。
もちろん、パーツ自体の強度も必要です。
アフターパーツの取り付けは、法律に適合しない場合、車検は通過しません。
ワイドトレッドスペーサーの車検
『今回の車検』
①Rタイヤはみ出し≒+15mm…10mmまではセーフなのだが…
25mmワイドスペーサー取り外されて通過…
②フォグHID H1 55w取り外されて通過…パス出来なかったのは初…
指定部品での4inch lift upはセーフになる。ディラー車検をギリパス出来るLC80(笑) pic.twitter.com/jV0Iw4tX8A— 🇯🇵Hiろ所長…炊事·洗濯·掃除 (@talaga1122) September 23, 2023
ワイドトレッドスペーサーは車検の判断がいろいろあります。
保安基準適合商品であることは前提ですが、はみ出していると間違いなく通りません。
ワイドトレッドスペーサーは、検査官の判断によっても異なるので注意が必要です。
ワイトレ自体ははみ出しとかしてなければ車検通ります。
しかしディーラー車検だとNG出される可能性が非常に高いです。
外して入庫するのがベストかと。— KEI (@360risingKEI) December 9, 2022
ディーラー車検だとNG出される可能性が高いという声があります。
ワイドトレッドスペーサーを装着している方は注意して下さい。
まとめ

今回は、インチアップ時の車検の注意点を書きました。
車検は、いろいろな基準がありますが、インチアップに関わるのは以下の4つ。
- フェンダーからのはみ出し、干渉
- タイヤの外径
- タイヤの荷重指数
- タイヤの減り
車検の前にこの4つの部分を確認してください。
車検の基準判断は、エリアで異なることがあったり、検査官の判断が異なることもあります。
車検の基準は、一般の方では判断しにくい部分もあり、検査官の判断に委ねられることが多いです。
そのため、ギリギリではなく、ある程度余裕を持たせておくことが大事。
見た目、かっこよさを優先しすぎるあまり、車検に通らないということは避けていきたいですね。

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