【ハミタイ対策】タイヤがはみ出してしまった場合はどうすればいい?車検NGの回避方法は?

タイヤがはみ出した場合の対策方法

タイヤ交換やホイールのインチアップで、「あれ?ちょっとはみ出してる?」と感じたことはありませんか?

いわゆる“ハミタイ”状態です。このままだと車検に通らないことも…。

この記事では、ハミタイ状態の原因と対策についてわかりやすく解説します。

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ハミタイ(はみ出しタイヤ)とは?どこまでOKなの?

フェンダーとホイール

ハミタイとは、「タイヤがフェンダーからはみ出している状態」のことを指す車好きの間で使われる略語です。

見た目がワイド&ローに見えてカッコいいと感じる人も多いですが、実はこのハミタイ、道路運送車両の保安基準に抵触する可能性があります。

2017年の保安基準改定により、タイヤの一部が10mm未満であればはみ出しても車検に通る場合があります。

ただしホイール(リム)のはみ出しはNG。検査官の判断もあるため、基本的にはタイヤも含めてフェンダー内に収めるのが安全です。

タイヤのはみ出し(ハミタイ)と車検の関係

タイヤチェック

道路運送車両の保安基準では、定められたはみ出しの規定があります。

インチアップを行う際、ホイールやタイヤがフェンダーからはみ出していると、車検に通らない可能性が高くなります。

保安基準では、車両側面から見た際に、タイヤの接地面がフェンダー内に収まっていることが求められ、タイヤのトレッド部分がフェンダーより突出していると、構造変更申請なしでは適合とならないので注意が必要です。

2017年からの保安基準改定ポイント

グレーの車にグレーのホイール

従来は車体からのタイヤのはみ出しは一切認められていませんでしたが、2017年に保安基準の一部が改定され、フェンダーからタイヤが10mmまでならはみ出しても車検に通る場合があります。

ただし、重要なポイントとして、はみ出しが許容されるのはタイヤのみです。

ホイール(リム)のはみ出しは依然としてNGとなっています。

イ 指定自動車等に備えられた車枠及び車体と同一の構造を有し、同一の位置に備え
られたものであって、その機能を損なうおそれのある損傷等のないもの
ロ タイヤの次に掲げる部分以外の部分が直上の車体(フェンダ等)より車両の外側
方向に突出していない車枠及び車体
(1) サイドウォール部の文字又は記号がサイドウォール部から突出している部分
(2) サイドウォール部の保護帯及びリブ並びにこれらと構造上一体となってサイ
ドウォール部から突出している部分(突出量が10mm未満である場合に限る。)

引用:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S100.pdf

タイヤの突出量が10mm未満である場合に限るとなっていますが、検査官の判断になるためるため、基本的にはフェンダー内に収める必要があります。

ホイールのはみ出しは車検非対応になりますので、ホイールサイズ選びは慎重に行って下さい。

ハミタイだと違反?車検は通る?

タイヤとホイール

タイヤがフェンダーから10mm以上はみ出している、いわゆる“ハミタイ”状態の場合、公道では違反となり車検にも通りません。

たとえタイヤのサイドウォールなどが少しだけはみ出している程度でも、検査官の判断によっては車検不適合とされる可能性があります。

特に注意すべきは、ホイールのリム部分がはみ出している場合で、これは明確にNGとされています。

公道でハミタイによる取り締まりを受けるケースは少ないものの、街頭検査や事故時の調査などで問題視されることがあります。

「たまたま通った」「今まで平気だった」という認識ではなく、常に合法なタイヤのはみ出し対策を行うことが重要です。

はみ出した場合の対処方法は?

タイヤやホイールがフェンダーからはみ出してしまう、いわゆる“ハミタイ”状態になる主な原因は以下の通りです。

  • ホイールのインセット(オフセット)の設定ミス
  • タイヤ幅の過大選択
  • サスペンション変更による影響
  • 不適切なサイズのホイール選択

ホイールが車体の中に入り過ぎている場合は、スペーサーで比較的簡単に調整できますが、はみ出てしまったタイヤを車体内に収めるのは難しいです。

1-5ミリ程度のはみ出しの場合

タイヤとホイール

わずか数ミリ程度のタイヤのはみ出し=“軽度のハミタイ”なら、フェンダー内に収めるための対策方法があります。
 
例えば、以下のような「はみ出しの対策方法」があります。

  • ローダウンによる調整
  • キャンバー調整
  • オーバーフェンダー・モールの装着

ここでは、ほんの少しだけタイヤがフェンダーからはみ出した際の対策方法を紹介していきます。

※大きくはみ出している場合は、ホイールの買い替え(適切なサイズへの変更)が必要になることもあります。

ローダウンによる調整

ローダウン

一つ目の対策方法は、ローダウンをすることです。

ローダウンは、車の車高を落とすことをいい、キャンバーがつくことでタイヤが内側へ入ります。

ローダウンの効果とメリット

ローダウンしてツライチ

車高を下げることで、サスペンション構造(例:ストラット式)の関係上、キャンバー角がつき、結果的にタイヤのはみ出し量が抑えられます。

キャンバー角がつくことでタイヤがフェンダー内に収まりやすくなるため、ハミタイ対策として定番の手法です。

車高を落とすことによってキャンバー角が多少つきます。
 (※サスペンションがストラット形状などの場合で、全ての車ではありません。)

ローダウン時の注意点

プリウス60

ローダウンを行うときは、以下の点に注意が必要です。

  • 車高を落としすぎるとフェンダーとタイヤが干渉しやすくなる
  • 最低地上高は9センチを下回ると車検不適合
  • 乗り心地や操縦安定性に影響が出る可能性あり
  • アライメント調整を怠るとタイヤの片減りなどが起こる

ローダウンは外観の改善や運転性能の向上にも繋がり、適切な範囲内での調整がハミタイ対策としても重要です。

ローダウンは、外観の改善や運転性能の向上を目的として行われますが、正しく行わないと車検に通らないリスクもあるため注意して下さい。

車高の落とし過ぎには注意が必要で、車検が通る範囲内で調整する必要があります。

キャンバー調整

次に、タイヤの傾きを調整する“キャンバー調整”によって、はみ出し(ハミタイ)を解消する方法です。

キャンバーは、サスペンションの角度の一つで、タイヤを後ろから見た時の傾きを指します。

キャンバー角がついているとタイヤが「ハの字」になっているように見えます。

キャンバー調整の方法と効果

車のパーツ 車高調

キャンバー調整には主に以下の方法があります

  • 純正調整機構の利用(調整幅が少ないか無い車が多い)
  • キャンバーボルトの使用(最も一般的)
  • 専用のアジャスタブルアッパーマウントの装着
  • 調整機構のある足回りへ変更(車高調など)

キャンバー調整は純正で調整機構がある車もありますが、純正の調整幅が少ないまたは無い車が多いです。
 
キャンバーボルトを使う方法が一般的で、ハミタイ状態の微調整に有効です。

車によってボルトのサイズが変わるため注意してください。

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キャンバー調整時の注意点

片減り

キャンバー調整の際は以下の点に注意しましょう。

  • キャンバーボルトは車種によってサイズが異なる
  • FF車では、リアのキャンバーが調整できない車種が多い
  • 取付後はアライメント測定が必須
  • 適切な調整を行わないとタイヤの片減りなど偏摩耗のリスク
  • 極端なキャンバー角はタイヤ寿命を縮める

車検ではキャンバーの角度自体に規定はありませんが、トー角と関連しているためトー角がずれていると車検に通らないこともあります。

キャンバーボルト取付後はアライメント測定を行って、足回りの角度を正しく調整することが必要。

アライメント調整をしないとタイヤの片減りなど偏摩耗が発生しやすくなることがあります。

オーバーフェンダー

オーバーフェンダー

三つ目のハミタイ対策は、オーバーフェンダーの装着です。

オーバーフェンダーとは文字通りフェンダーを大きくするパーツで、タイヤのはみ出し(ハミタイ)を合法的にカバーするための外装パーツです。

フェンダーモールとの違い

黒いホイールとタイヤ

フェンダーモールはボディにモールを貼り付けることで、フェンダーの厚みを変更できるアイテムです。

オーバーフェンダーほどの存在感はありませんが、よりさりげない対応が可能です。

フェンダーモールは、ボディにモールを貼り付けることによって、フェンダーの厚みを変更することができ、ハミタイを目立たず合法化できます。

ただし、車検でボディサイズの取り決めがありますのでオーバーフェンダーの厚みは決まっています。

装着時の車検対応と注意点

オーバーフェンダー装着の際の注意点

  • 20mm以上大きくなる場合は構造変更申請が必要
  • ビスやリベット固定が車検上必要
  • 装着後の見た目の変化を考慮する
  • 車種によっては専用設計品が必要

オーバーフェンダー以外の方法として板金による加工もありますが、コストが高く、元に戻せなくなるリスクがあります。

20mm以上大きくなる場合は構造変更申請が必要(オーバーフェンダーの取り付けは、ビスやリペット固定が必要です。)

より専門的なハミタイ対応策

フィン

はみ出しが発生することで車検に通らない可能性がありますが、下記の対策を講じることで合法的に対応できる場合があります。

フェンダーアーチモールの装着

フィンホイール

はみ出しの対処方法の一つとして、フェンダーアーチモールの装着があります。

純正オプションや汎用品として販売されているフェンダーアーチモールを使って、はみ出しを抑える方法です。

注意点:後付けモールは確実に固定されていることを証明する必要があり、簡易な接着だけでは車検不適合となる可能性があります。

例えば、スバル・フォレスターやトヨタ・ハイラックスには純正オプションが設定されています。

ホイールのインセットを調整する

インセット

ホイールのインセット値を変更することで、タイヤの位置をフェンダー内に収める手法です。

例えば、純正インセットが+45mmの車両に+35mmのホイールを装着した場合に生じる10mmのはみ出しは、+40mm程度のインセットを持つホイールに交換することで5mm抑えられます。

注意点として、ホイールの買い替えが必要になるためコストがかかります。

ホイールを外に出すのはスペーサーなどで手軽にできますが、中へ入れるのはハードルが上がります。

はみ出し量はインセットだけではなく、ホイール幅によっても変化するため、ホイール幅とインセットのバランスも重要です。

車検適合サイズのタイヤを選ぶ

タイヤホイール

トレッド幅の狭いタイヤに交換することで、ハミタイ状態を緩和できます。

例えば、

  • 215/45R17 → 205/45R17 や 195/50R17
  • 225/40R18 → 215/40R18 や 205/45R18

狭いトレッド幅のタイヤへの交換で、ホイールの外側への張り出しを抑えられます。

特に「引っ張りタイヤ」と呼ばれる形状に調整することで、スタイルを維持しながらはみ出しを最小限に抑えることも可能です。

タイヤサイズの変更は、ホイール自体がはみ出している場合はNGです。タイヤの一部がはみ出す程度なら解消できる可能性があります。

また、タイヤの負荷能力(ロードインデックス LI)にも注意してください。ロードインデックスが下回ると車検に通らない可能性があります。

フェンダー加工

ローダウン

ハミタイのより本格的な対応としては、フェンダー加工が挙げられます。

  • フェンダーリップの折り曲げ(爪折り)
  • フェンダーの叩き出し
  • フェンダーの板金・拡張

フェンダーの爪折り(フェンダーリップの折り曲げ)や、フェンダーの叩き出しを行うことで、タイヤ・ホイールのはみ出しを抑えられます。

これらの作業は板金塗装技術を要し、コストもかかり、元の状態に戻せなくなる点に注意が必要です。

フェンダー加工の料金はお店によって異なりますが、フェンダーつめ折り 5,000円~が一般的な価格です。

叩き出しや板金・塗装を行うと 50,000円〜

元に戻せなくなるリスクがありますので慎重に判断する必要があります。

専門知識があり、器用な方なら自分で爪折りをする方法もあり、DIYできる工具も販売しています。

まとめ|ハミタイ対策は慎重に

インチアップ

今回は、タイヤがフェンダーからはみ出してしまった場合の対策方法を書きました。

ハミタイ状態を放置すると車検NG・法令違反になるだけでなく、安全面にもリスクがあります。

タイヤやホイールが車体からはみ出してしまうと車検不適合となるため、事前に適切なサイズ選びが重要です。

2017年の保安基準改定により、タイヤのみ10mm未満のはみ出しは許容される場合がありますが、基本的にはフェンダー内に収めることが理想的。

インチアップ時は車にあったサイズのホイールを装着する必要があります。

ホイール購入時は以下をチェックしましょう

  • 車とのマッチング確認
  • 適合車種・型式の確認
  • PCDやハブ径など基本スペックの確認
  • インセット値の確認
  • ホイール幅の確認

特にスライドドア車はタイヤ・ホイールがはみ出しすぎると、ドアを開けた際に干渉するリスクがあります。

また、同じ車種でも個体差があるため、安全マージンを持ったサイズ選択が推奨されます。

愛車のスタイルアップと車検適合の両立は可能です。

ホイールの購入時は、車とのマッチングをしっかり確認し、適合チェックをして車に装着可能なホイールセットを選んでください。

【参考文献】
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2023.1.4】
第100条(車枠及び車体) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S100.pdf

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この記事を書いた人

自動車業界で10年のキャリアを積んだ後、自動車関連のWEBライターとして活動しています。特にスポーツカーが好きで、多岐にわたるモデルを経験してきました。これまでに1500本以上の記事を執筆し、専門知識をもとに読者に有益な情報を提供しています。タイヤ・ホイールの選び方から購入方法まで、実践的なアドバイスをお届けします。

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