ホイール交換やインチアップは、愛車をよりスタイリッシュに仕上げる人気カスタム。
しかし、忘れてはいけないのが 「車検に対応しているか」 です。
基準を満たさないまま装着すると、車検不合格や整備不良の対象になることも。
この記事では、初心者でも安心して選べるように 車検対応の基礎知識 を徹底解説します。
車検でチェックされるホイール関連ポイント

車検で確認されるのは「ホイールそのもの」だけでなく、装着状態や安全性です。
検査官は目視と計測器具を使って、厳格に基準適合をチェックします。
1. 外径・はみ出し(フェンダーからの突出)

ホイールがフェンダーから1mmでも出ているとNG。側面から見た際の突出も含まれます。
検査時には車両を揺すって、サスペンション作動時の最大突出位置まで確認されるため、ギリギリの設定は避けるべきです。

2. インセット(オフセット)

車体に近い方が見た目の迫力は増しますが、浅すぎるとフェンダー干渉やはみ出しで不適合。
深すぎるとブレーキキャリパーに干渉する場合も。
インセットの変更は車両の挙動にも影響するため、純正から大幅に変更する慎重な判断が必要です。

3. リム幅(J数)

純正と大きく異なる幅は、タイヤの適正な装着ができず安全性の観点で不適合となる可能性が高くなります。
タイヤメーカーが推奨するリム幅の範囲内での選択が重要で、極端に幅広や幅狭のリムは避けるのが無難です。

4. PCD(ピッチサークル径)とハブ径

ボルト穴の配置を示すPCDと、ホイールの中心穴径(ハブ径)が車両と合わない場合は装着不可。
無理な装着は非常に危険です。
PCDが1mm違うだけでも正しく装着できず、ハブ径が小さい場合は物理的に入らず、大きすぎる場合は振動やガタの原因となります。

5. スペーサーの使用

ボルトのかかり代が十分ならOK。(3-5mmスペーサーが一般的)
ただし不足すると脱落の危険があり不適合。
スペーサー使用時は、適切な長さの計算と品質の良いボルトの選択が重要です。

6. ナット・ボルトの突出

車体から突き出ると危険部品扱いでNG。
特にロングナットを使用する際は、適切な長さのものを選ぶ必要があります。
突出部分で歩行者がケガをする可能性があるため、安全面から厳しくチェックされます。
7. ホイールナットの適合性

純正がテーパー座なら同じ形状、球面座なら球面座のナットを使用。
座面形状が異なると締結不良の原因となります。
見た目は似ていても微妙に角度が異なる場合があり、適合しないナットの使用はホイールの脱落事故につながる極めて危険な状態を招きます。

インチアップと車検の関係

インチアップは可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
- 外径が純正比±3%以内(厳密には±2.5%以内とする場合もあり)
- 外径が大きく変わると、スピードメーターの誤差が基準超過となり車検不合格
- 例えば「純正15インチ → 17インチ」も、適切なタイヤサイズを選べば車検対応可能
外径計算例: 純正:195/65R15 → 外径約634mm 17インチ化:215/45R17 → 外径約626mm(純正比-1.3%でOK)
タイヤ外径の計算はこちら
→ タイヤ外径を簡単計算
インチアップと車検については以下の記事を参考にしてください

構造変更が必要になるケース

以下の場合は構造変更申請が必要になることがあります。
- フェンダーの加工や交換を行った場合
- 車高を大幅に変更した場合(40mm以上の変更)
- タイヤサイズを大幅に変更した場合
構造変更には費用と時間がかかるため、事前に専門店で相談することをお勧めします。
ホイールがはみ出した場合のフェンダー加工などは要注意です。

ホイールデザインと車検適合

デザインによっても適否が変わります。
- 鋭利な突起やスポーク先端 → 歩行者保護の観点からNG
- 極端な深リム → ナットかかり不足やフェンダー突出の原因
- リムの装飾品 → 突出や鋭利な形状は不適合の可能性
- 強度試験マーク(JWL / VIA) → 無刻印のホイールは原則車検NG
ディスク面が突出しているデザインやセンターキャップ、ホイールボルトの突出にも注意が必要です。
ホイールのデザインは以下の記事を参考にしてください。

車検対応に必須の基準マーク

日本で車検に通すには、以下のマークが重要です。
JWLマーク
JWL / JWL-Tマーク
国土交通省が定める安全基準をクリアした証。
JWLは乗用車用、JWL-Tはトラック・バス用のアルミホイールに必須の刻印です。
自社認定制のため、メーカー自らが基準適合を確認して刻印しています。
VIAマーク
第三者機関「自動車用軽合金製ホイール試験協議会」による強度試験を通過した証。
より厳格な試験をクリアした高品質の証明で、JWLと組み合わせて表示されることが多いです。
💡 注意点 海外製の廉価ホイールには刻印がない場合があるため、購入前に必ず確認しましょう。レプリカホイールでも正規品と同様の刻印があれば車検対応です。
地域差と検査官による判断のばらつき

車検は人による目視検査も含まれるため、以下の点にご注意ください。
- 検査場や検査官によって判断が微妙に異なる場合がある
- グレーゾーンの案件は事前に陸運局に相談するのが確実
- 改造車専門の整備工場での事前チェックが安心
特にホイールの場合、フェンダーからのはみ出しがギリギリの場合など、検査官の経験や判断基準によって結果が分かれることがあります。
不安な場合は、事前に信頼できる整備工場で予備検査を受けることをお勧めします。
よくある車検NG例
実際の車検でよく問題となるケースをご紹介します。
これらのポイントを事前に確認しておけば、トラブルを未然に防げます。
- フェンダーからホイールが1mmでもはみ出している
- ワイドトレッドスペーサーでボルトのかかりが不足(8mm未満)
- 鋭利なスポーク形状やリムの突出
- JWLマークのないホイールを装着
- 座面形状が合わないナットの使用
- PCD不適合による無理な装着
これらのNG例は、見た目には問題なさそうでも安全上の理由から厳しくチェックされる項目です。
特にフェンダーからのはみ出しは、1mmでも超えると確実に不合格となるため、装着前の確認が重要です。
車検対応チェック表(OK・NG例)
項目 | OK例 | NG例 |
---|---|---|
フェンダーのはみ出し | タイヤがツライチで収まっている | タイヤ・ホイールが1mmでも突出 |
インチアップ | 外径が純正比±3%以内 | 外径が大きく変わり誤差が基準超過 |
ホイール強度マーク | JWL・VIA刻印あり | 刻印なし(海外無名ブランドなど) |
スペーサー使用 | ボルトかかりが十分 | ボルトかかり不足で脱落リスク |
デザインの安全性 | 丸みのあるスポークデザイン | 鋭利な突起や極端に突出した形状 |
ナットの適合性 | 座面形状が純正と同じ | テーパー座に球面座ナット使用 |
PCD・ハブ径 | 車両と完全に一致 | 無理な装着や変換アダプター使用 |
購入時のチェックポイント

ホイール選びで失敗しないためには、購入前の確認が何より重要です。
車検対応はもちろん、安全性と品質を兼ね備えたホイールを選ぶためのポイントをご紹介します。
オンライン購入時

ネット通販でホイールを購入する際は、実物を確認できないため特に慎重な検討が必要です。
- ネット通販で「車検対応」と明記された商品を選ぶ
- 商品ページに「JWL刻印あり」「VIA規格適合」とあるか確認
- 自分の車種の適合情報(PCD、インセット、ハブ径)を事前に調べる
- レビューで実際の装着例や車検通過実績を確認

取り付け時

正しい取り付けは安全性の要です。以下の点を必ず守りましょう。
- 取り付けは信頼できるショップやディーラーに依頼するのが安心
- 装着後は必ずトルクチェックを実施
- 初期走行後の増し締めも重要
DIYでの取り付けも可能ですが、トルク管理や適正な締め付けには専門知識が必要です。
安全性を最優先に考え、不安な場合は必ずプロに依頼することをお勧めします。

まとめ

車検対応ホイールの選び方3つのポイント
- フェンダーからのはみ出し禁止 – 1mmでもはみ出すとNG
- 外径は純正比±3%以内 – スピードメーター誤差を基準内に
- JWL / VIAマーク必須 – 安全性の証明として不可欠
これらの基準を守れば、大きなトラブルは避けられます。
ただし、最終的には専門店での事前確認や、車検前の点検を受けることで安心してホイール交換やインチアップを楽しむことができるでしょう。
💡 重要な注意点 法規制は変更される場合があります。
最新の情報は国土交通省のWebサイトや最寄りの陸運局でご確認ください。
ホイール選びは以下の記事も参考にしてください


