「タイヤのエクストラロード(XL)規格を知っていますか?」
タイヤをインチアップする時には、タイヤ選びも重要になります。
中でも、インチアップに大きく関わるのは、タイヤのエクストラロード(XL)規格。
今回は、タイヤのエクストラロード(XL)規格について分かりやすく紹介します。
エクストラロード(XL)規格って何?

エクストラロード(XL)規格とは、通常のタイヤよりも高い空気圧での使用に耐えられる設計が施されたタイヤのことを指します。
サイドウォールの補強が強化されており、重い車両や高速走行時の安定性を向上させる目的で採用されることが多いです。
XL規格のタイヤは、標準規格(SL:スタンダードロード)のタイヤと同じサイズでも、耐荷重性能が高くなります。
例えば、225/45R17 91Wに対し、同じサイズで225/45R17 94W XLと表記されている場合、後者はXL規格に該当。
91と94の違いは、ロードインデックス(LI)と呼ばれる耐荷重指数で、数値が大きいほど支えられる重量が増加。
特にSUVやスポーツカー、ミニバンなどでは、車両重量が大きくなる傾向があるため、XL規格のタイヤが推奨されることが多いです。
ロードインデックス(LI)とは?

ロードインデックス(LI)は、タイヤが支えられる最大荷重を示す数値であり、適切なタイヤ選びには欠かせない指標です。
タイヤの側面には「225/45R18 95W」のように表記されており、この「95」の部分がロードインデックスに該当します。
ロードインデックスの数値が大きいほど、タイヤが支えられる重量も増加。
例えば、LI「95」は690kgの耐荷重性能を持つ。
これは1本のタイヤあたりの耐荷重であり、4本の合計で車両を支えることになる。例えば、LI「95」のタイヤを装着した場合、最大耐荷重は2,760kg(690kg×4本)となる。
インチアップを行う際は、ロードインデックスの確認が特に重要。
純正装着タイヤよりも低いLIを選んでしまうと、車両の重量を支えきれず、安全性が損なわれる可能性があります。
インチアップ後のタイヤは、純正と同じかそれ以上のロードインデックスを確保することが必要です。
エクストラロードの空気圧は?

エクストラロード(XL)規格のタイヤは、通常のスタンダードロード規格よりも高い空気圧で使用する設計となっています。
サイドウォールが強化されているため、適切な空気圧を維持することで、耐荷重性能を最大限に発揮できます。
一般的なXLタイヤの推奨空気圧は、2.5~3.0bar(250~300kPa)の範囲となることが多い。
例えば、225/45R18 95W XLのタイヤを装着した場合、メーカー推奨値は280kPa(2.8bar)前後となるケースが多い。
これは、同サイズのスタンダードロード規格(225/45R18 91W)が230~250kPa程度であるのに対し、約30~50kPa高い空気圧が必要になることを示しています。
適正な空気圧を確保することで、耐荷重性能が維持され、偏摩耗の抑制や燃費向上といったメリットを得られます。
特にSUVやミニバンでは車両重量が大きいため、XL規格のタイヤを装着する際には適切な空気圧管理が不可欠となります。
空気圧によって負荷能力が変化

エクストラロード規格のタイヤは、ロードインデックスと空気圧で負荷できる荷重が変わります。
<空気圧と負荷能力の例>
- 空気圧が2.0kPaの時455kg
- 空気圧が2.5kPaの時545kg
- 空気圧が2.9kPaの時615kg
このように、空気圧によってタイヤの負荷能力が変化します。(ロードインデックスによって負荷能力は違います。)
タイヤサイズ、ロードインデックスが変わると変化するので、装着するタイヤで確認する必要があります。
引用:https://tire.bridgestone.co.jp/about/tire-size/pressure-list/index.html
負荷能力は、サイズ、ロードインデックスによって変わるため、タイヤのカタログなどで確認してください。
カタログにもエクストラロードタイヤの場合はXLと書かれています。
エクストラロード規格のタイヤは、内部の構造が強化されていて、タイヤの負荷できる荷重が大きいので、高い空気圧に耐えることが可能。
そのためエクストラロード規格のタイヤは、空気圧を高くすることで、負荷できる荷重が大きくなっているのが特徴です。
エクストラロード規格のタイヤを装着する場合は、空気圧で負荷能力が変化することを理解しておく必要があります。
引っぱりタイヤの空気圧は?

引っぱりタイヤは、標準的なホイール幅に対して細めのタイヤを装着し、サイドウォールを引っ張る形状にするカスタム手法の一つ。
見た目のスタイリッシュさが魅力だが、適正な空気圧の管理が重要になります。
XL(エクストラロード)規格のタイヤを使用する場合は、通常よりもさらに高めの空気圧が必要です。
例えば、225/35R19 88W XLのタイヤを引っぱり仕様で使用する場合、3.0bar〜(300kPa)前後の空気圧が適正範囲とされることが多い。
走行スタイルによっても適正な空気圧は変わります。
街乗り中心の場合は乗り心地を考慮し2.5~2.8bar程度、高速走行やスポーツ走行をする場合は剛性を確保するため2.8~3.2barに調整するのが一般的。
引っぱりタイヤは通常のタイヤよりもエア漏れが発生しやすく、空気圧が低下しやすいため、定期的なチェックが欠かせません。
XL規格のタイヤは、空気圧の管理が重要で、高めの空気圧にする必要があります。
※XL規格タイヤの空気圧を知るには「JATMA 負荷能力対応表」を参考にするといいです。
⇒ https://www.jatma.or.jp/safety_technology/tyre_standards.html
※エクストラロード規格ではないタイヤは、負荷能力は異なるため間違えないように注意してください。

エクストラロードタイヤの価格は?

エクストラロード(XL)タイヤは、通常のスタンダードロード(SL)タイヤと比較して、内部構造の強化や高い耐荷重性能を持つため、価格が高めに設定される傾向があります。
具体的な価格は、タイヤのサイズやブランド、性能によって異なります。
エクストラロード規格のタイヤの価格は高そうですが、アジアンタイヤなどの輸入タイヤではエクストラロード規格のタイヤは安めの製品も多め。
国内メーカーの方が価格は高めですが、サイズによって国内メーカーは作っていないので、インチアップ時はアジアンタイヤを選択することになるケースがあります。
まとめ
今回は、「エクストラロードの空気圧」を紹介しました。
エクストラロード規格タイヤはヨーロッパ基準のタイヤ規格でXL規格と言われ、タイヤにXLの記載があります。
XL規格は、通常のタイヤ(JATMA規格)よりも高い空気圧を入れることができ、空気圧によってタイヤの負荷能力が変わります。
インチアップの際に使われることも多いです。
この記事が、タイヤ・ホイール選びの参考になればと思います。
【参考文献】
JATMA: https://www.jatma.or.jp/media/pdf/tyre_select01_2018.pdf
株式会社ブリヂストン:https://tire.bridgestone.co.jp/